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[発信者情報開示請求の実際・お役立ち資料](2009/12/12)
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発信者情報の開示をプロバイダに請求したり、あるいは、裁判をするに際して、参照すべき基本的な資料集
≪参考サイト≫
〆 最高裁HP 東京地裁の保全部(保全申立て)のページ
基本的な説明と、仮処分と仮差押の(典型的な事件の)サンプル書式があります。
残念ながら、仮地位仮処分の雛形はありません。
同じカテゴリー内のページには、起訴命令や、配偶者暴力に関する保護命令申立書などもあります。
〆 総務省のプロバイダー責任法の逐条解説(平成14年5月)
プロバイダ責任制限法の公式の逐条解説。
この解説内容からあまりに離れた主張は、裁判でも認められることはまずないので、必須の資料です。
〆 プロバイダー責任法の総合サイト(プロバイダ責任制限法対応事業者協議会)
公的な関連サイトのリンク集ともいえるページ。
総務省のページからもリンクされている総合ページです。
〆 社団法人テレコムサービス協会のプロバイダー責任法の特集ページ
報道資料「プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン」(2007.02.26)があります。
逐条解説には劣るものの、こちらも一読しておく必要のある資料です。
≪発信者情報開示の裁判例≫
保全訴訟ではなく、(本案)訴訟ですが、次のものを参考にしてください。
〆 平成18(ワ)9264 東京地裁判決平成18年09月25日 判決(PDF)
音楽MP3ファイルをWinMX(ファイル交換共有ソフト)を利用してインターネット上で公開した行為が,送信可能化権(著作権)の侵害に当たるとして,ソフトバンク等のプロバイダに対して、発信者情報の開示を求めた事案で、その請求を認容した事例
⇒ 類似案件 平成16(ワ)22428 東京地裁判決平成17年06月24日
〆 平成17(ワ)24370 東京地裁判決平成18年04月26日 判決(PDF)
メーカーからの情報をその正確性の理由として掲げて,パチンコ・スロットの「打ち子」募集,パチンコ機等の攻略情報提供をうたうパチンコ機・スロット機の攻略HPの発信者情報について,サーバー会社に対して開示を求めた事案で,契約者の担当者の氏名,住所及び電子メールアドレス(電子メールアドレスは契約時のもの及び変更後のもの)の開示が認容された事例
なお、「本件ウェブページによって提供される役務は,パチンコ機スロット機の攻略情報を提供するというものであるからパチンコ機スロット機に係る技芸の教授といい得るものであり本件商標権の指定役務である『技芸・スポーツ又は知識の教授』と類似していると認められる。」との認定が興味深い。
≪関連裁判例≫
〆 平成20(ネ)10009 知財高裁判決平成20年07月17日 判決(PDF)
ライブドア・堀江貴文の証人尋問を傍聴して作成したブログ記事が無断盗用(全文をそのまま転載)されたとして、ヤフー(プロバイダー)に対して発信者情報の開示を求めた事案だが、著作物性が否定されることで、発信者情報の開示の審理にまで至らなかった事例
ブログなどで良く見る形態の記事についての著作物性の判断であり、参考となるので掲載した。
〆 平成19(ワ)6473 大阪地裁判決平成20年05月23日 判決(PDF)
「Aちゃんねる」とのタイトルのとおり,Aの生徒等の関係者が書き込みをすることを想定した掲示板において,タイトルで氏名(実名)及び学年が特定され,スレッドの内容も実在の生徒であることを前提とした書き込みがほとんどであったところ,被害者関係者がその削除等を求めたにもかかわらず、掲示板管理者が長らく放置したとして、慰謝料を請求した事案で、被害者の請求を全面的に認めた事例
この手の問題について興味深い説示があるので掲載した。
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まず、「原告にとっては,不特定多数の者が閲覧可能なインターネット上で,冒頭の書き込みのように実名を明らかにした上で誹謗中傷する内容の書き込みがされていること自体が,重大な権利侵害というべきであり,本件スレッドが全体としては原告を擁護する傾向であったとしても,そのことは権利侵害を否定する理由にはならない。」と判示し、「全体として被害者を擁護する傾向にあった」ことが侵害を否定する理由にならないことを指摘した点は重要である。
また、「被告は,本件掲示板には,削除の基準,削除依頼窓口も表示されており,管理人としては,全体の流れ等から削除基準に該当しない本件スレッドまで,むやみに削除を行うことは,不適切な管理となりうると主張する。しかしながら,本件スレッドが,原告に対する権利侵害となることは前記1(2)のとおりであり,削除の基準や削除依頼の方法を定めているからといって,掲示板管理者の管理義務の程度,内容が限定されることにはならない。また,プロバイダ責任法3条2項の規定に照らせば,特定の個人に対する権利侵害と信ずべき相当の理由がある本件スレッドを削除したことについて,被告が書き込みを行った者に対する関係で責任を負うことはないというべきである。したがって,被告の主張は失当である。」と判示し、「独自の削除ルール」が免責理由にならないことを指摘した点も重要である。
なお、この事案では、被害者は,本件スレッドの書き込みにより,不特定多数の者の好奇の目に晒されることになり,その不安と恐怖から,通っていた学校からの転校や塾をやめることを余儀なくされるなどしたという。このような重大な結果を招かない為にも、この裁判例が一つの指標になればと願うものである。 |
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