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[【判例】 最判平成24年3月23日](2012/11/08)
● 「ネットにおける名誉毀損の判断基準/民事裁判の場合」
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≪ネットによる名誉毀損の判断基準・民事編≫
インターネット上での表現行為について、その民事責任の判断基準が最高裁より示されています。既存の紙媒体の時代と同様の判断方法を用いるとの結論でした。既に、刑事裁判においての同趣旨の判例が出ていましたので、予想されていた結論と言えるでしょう。
≪実は、初の判断!?≫
以前どこかで聞いたよ? と訝しがられるかもしれませんが、実は、民事の判断としては初であるそうです。
例えば、法律専門誌の囲み解説においても、次のように紹介されています。
即ち、「本判決は昭和31年判決が示した判断基準の個別事案への当てはめを問題とするものにすぎないが、インターネット上の表現行為について従来と同様の基準に従い名誉毀損罪の成立を認めた事例としては最1決22・3・15刑集64・2・1、本誌2075・160があるものの、インターネット上の表現行為が不法行為を構成することを認めた最高裁の判例はこれまでにないことから、本判決は事例としての意義を有すると思われる」(判時2047号61-62頁)と。
なお、ここでは、刑事の「名誉毀損罪」に対して、民事の「不法行為」と記載されているのが、読解のポイントですね。
≪実際上の意義は?≫
最後に、この判例の一般人にとっての意義ですが。それは、「ネットにおける責任の判断方法は他のメディアと変わらない」ということにあり、その結論を知っておけば足りるでしょう。なお、具体的な判断基準・方法については判決文に現れておりますが、他の判例を読んでこられた方であれば、軽く目で追って確認しておけば十分だと思われます。
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【資料・最判平成24年03月23日[平成22(受)1529] 判決(PDF)】
4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
(1) ある記事の意味内容が他人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは,一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断すべきものである(最高裁昭和29年(オ)第634号同31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁参照)。
前記事実関係によれば,本件記事は,インターネット上のウェブサイトに掲載されたものであるが,それ自体として,一般の閲覧者がおよそ信用性を有しないと認識し,評価するようなものであるとはいえず,本件記載部分は,第1文と第2文があいまって,上告人会社の業務の一環として本件販売店を訪問したX2らが,本件販売店の所長が所持していた折込チラシを同人の了解なくして持ち去った旨の事実を摘示するものと理解されるのが通常であるから,本件記事は,上告人らの社会的評価を低下させることが明らかである。
(2) そして,前記事実関係によれば,本件販売店の所長が所持していた折込チラシは,訴外会社の従業員が本件販売店の所長の了解を得た上で持ち帰ったというのであるから,本件記載部分において摘示された事実は真実ではないことが明らかであり,また,被上告人は,上告人会社と訴訟で争うなど対立関係にあったという第三者からの情報を信用して本件サイトに本件記事を掲載したと主張するのみで,本件記載部分において摘示した事実が真実であると信ずるにつき相当の理由があったというに足りる事実を主張していない。
(3) そうすると,被上告人が本件サイトに本件記事を掲載したことは,上告人らの名誉を毀損するものとして不法行為を構成するというべきである。
(※ ネット閲覧の便宜の為、適度に、改行を挿入した。)
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