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  許認可等の取り消しの通告が!? 聴聞・弁明を執り行うって?
  聴聞・弁明ってそもそも何? どこに相談したら??



≪聴聞・弁明とは?≫

差し迫った行政処分を前にして、あなたの事業を続けるうえでの重要なチャンス、それが聴聞・弁明なのです。

今、これを活かさないと! 行政といえども、法的に杜撰なことをしていることは多く、筋さえ通せば、道が開けることも多いのです。つまり、聴聞・弁明とは、行政が不利益な処分を最終的に下す前に、本当に、その処分の要件が充たされているかについて、処分の相手方(名宛人)にも意見を言う機会を与えて、その処分の適正を期した制度のことをいいますが、言い換えれば、あなたの言い分を堂々と主張する権利行使の場でもあるのです。


ところで、「訴訟で争えば済む」と甘いことを考えていてはいけませんか?

しかし、訴訟で争点となるのも、この聴聞手続きでの適正な手続きに関してが殆どなのです。聴聞の段階で、処分事由(理由)が十分に示され、それに対して当事者(事業者であるあなた)が争う機会を十分に与えられたかどうか、その結果、事実が的確に認定されたかどうかが争点となるのです。

そして、民-民におけるルールと違い、行政相手の場合、手続きの瑕疵(かし)が処分自体の効力をも左右し得るのです。この大原則をおさえることが肝要です。つまり、聴聞・弁明の場で、しっかりと主張しておくことが、最終的に(裁判で)その処分の適正を争う上で重要にもなってくるのです。


特に、その処分についての行政庁の裁量性が高い、不明確な条文に基づく処分の場合は、要注意です。

なぜならば、裁量判断の【当否】に対して、裁判所は、原則として行政庁の判断を尊重するとの立場に立つからです。そこで、裁量判断の当否に立ち入らずに、手続的にルールを守っていたか否かに焦点を当てて、不利益処分の効果を争えるよう、先を見据えた対応をしておく必要があります。

また、行政庁の裁量判断の当否を争う場合も、聴聞段階での【事実の解明】は重要です。

なぜならば、裁判になれば、前提にされるべきその事実に照して、行政庁の判断が、もはや【裁量権の逸脱・濫用】といえることを主張・立証していくことになるからです。その為には、聴聞手続きで、争うべきことを争っておかなければなりません。つまり、聴聞において、あなたが事実を主張しなかった結果、適切に事実が認定されていないとしたならば、裁判所としても、行政庁の判断のおかしさを認定することが難しいのです。

従って、聴聞の場で、主張すべきことを主張しておくことこそが、最終的な勝利を導く上で、重要なポイントとなるのです。なお、このことは、聴聞を初め、弁明、その他「意見聴取」などとあっても、法律上の聴聞・弁明である限りは、同様です。だから、訴訟に備える意味でも、あなたにとって充実した聴聞・弁明を経ておくことは重要なのです。




≪過去の裁判例≫

1 審査基準の不設定

申請に対する処分の事案でやや異なりますが、医師国家試験受験資格の認定に関して、審査基準が示されていなかったことを理由にして、当該処分は違法とされ、処分が取り消された事例(東京高判平成13年6月14日)があります。

保育所入所拒否処分についても、審査基準、理由付記に不備があるとして国家賠償請求が認容された事例(大阪地判平成14年6月28日、慰謝料90万円)があります。


2 理由付記の不備

生活保護法に基づく指定医療機関の指定取消処分に関して、処分理由として示された理由が「診療報酬の請求について不正事実が存在したこと(生活保護法第50条第1項違反)」というだけであった事案につき、この理由定時が違法であるとされた事例(高松地判平成12年1月11日)があります。」

馬主登録の申請に対し日本中央競馬会がおこなった拒否処分の理由が、根拠規程の条文とその条文の文言のみであった事案につき、理由提示義務違反として当該拒否処分は違法なものとされた事例(東京地判平成10年2月27日)があります。

パチンコ店営業許可の取消しに関して、通知書の理由が根拠となる法令の条項として風営法8条2号と記載されているのみだった事案で、行政手続法の要求する理由の提示を欠くとして違法とされた事例(盛岡地判平成18年2月24日)があります。


3 まとめ

不利益処分の場合は、審査基準の設定と開示は努力義務なので「1」の裁判例と同様になるかといえば必ずもそうではありませんが、少なくとも、「2」における理由記載の不備とあいまって、処分の違法性を高める要素になるのではないかと思われます。

また、「2」の理由記載は特に、手続的に重視されている事項ですので、「○○法第XX条に該当し、営業許可を取り消す」などというような、実質的に何の理由も記載されていない場合は、違法と考えてよろしいのではないかと思います。




≪相談先の選び方≫

聴聞・弁明についての相談先は、弁護士、行政書士です。

弁護士は一般的に法律事務の代理権がありますので、従来より、代理人になって活動できましたので、当然、その相談先にもなり得ました。

ただ、実際のところは、行政法(訴訟)に強い弁護士というのは特化しており、弁護士であれば相談相手として頼りになるかといえば、必ずしもそうでありませんでした。医療事件と同様、行政事件について経験を積んできた弁護士でないと、そもそも、行政法一般についての理解に不足しがちであったとさえいえます。

もっとも、近年、司法改革により、司法試験科目に行政法がおかれた関係で、ここ2、3年の新人・若手弁護士であれば、行政法の素養があるといえます。しかし、新人弁護士にとって行政事件は重荷でもあり、もうしばらく、実務家としての育成には歳月を経ねばならないかと思います。


以上のような実情もあり、従前は、そもそも、聴聞・弁明手続きに外部の専門家が関与すること自体が稀でした。弁護士が関与してくるのは、やはり、完全に後手後手に回っての、(取消・差止め、国賠)訴訟の段階がほとんどでした。

そこにきて、近年、法改正により、行政書士に聴聞・弁明の代理権が付与されました。これは、行政書士が、行政を相手にした許認可等の専門家である上、また、以前から行政書士の(択一)試験には行政法が含まれており、意外な話ですが、弁護士よりも、行政法の知識があったことによるのではないかと思います。


おおよそ、現状はこのような感じですので、聴聞・弁明(の代理)の相談であれば、弁護士、行政書士のいずれでも構わないと思います。ただ、訴訟で本格的に争うことまでを見越すのであれば、最初から費用をかけて、弁護士に相談するべきかもしれません。









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