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離婚や慰謝料裁判を考えているけれど…、どこに相談したら?
相談料や、手続きにかかる費用はどのぐらい?
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≪相談先の選び方≫
離婚、財産分与・慰謝料、親権・養育費、年金分割、離婚条件について知りたいなど、離婚に迷ったり、離婚を決意したならば、どこに相談すれば?
離婚問題についての相談先としては、弁護士、行政書士などが代表的です。
また、司法書士も、その法律相談にきた縁で相談に乗っていると思われます。但し、離婚は一般に家事事件に当たるので、司法書士には代理人になる資格がありません。その為、調停の申立書や離婚裁判の訴状といった【裁判所提出書類】の作成という形での関与・相談になります。
そうすると、家事事件の特質から、行政書士への相談と大差がないように思います。
それゆえ、本来的な相談先は弁護士なのですが、弁護士は、調停段階では相談どまりが多いといいます。その結果、離婚についてどうしようかと迷った初期の頃の相談先としては、行政書士がその活躍の場としてきたのが実情です。
ただし、行政書士は、あくまでも「離婚協議【書】の作成」にかかる業務の相談に応じることができるに過ぎません。もちろん、行政書士でも、離婚にかかわる法律について一般的な説明はしてくれるでしょう。しかし、行政書士を相談先とする場合、依頼者自身が主体となって事にあたっていくことを覚悟しなければなりません。
これは、行政書士に法律事務の代理人となる資格がない為です。例えば、「あなたの意向を聞き取ってそれを請求書として作成すること」はできても、それを超えて、「相手との交渉を引き受けるようなこと」ができないことを意味します。行政書士は、精々、離婚協議書の作成にあたり、双方の考えを掘り下げて確認する為に、適宜の措置をとることぐらいしかできないのです。
とはいえ、弁護士に事件を委任すると、その後は、依頼者そっちのけで手続きが進んでいく嫌いがなきにしもありません。その意味で、行政書士からアドバイスを受けながら、あくまでも、自分の事件として向かい合うことは、結果的には、心の整理につながることも多いのではないでしょうか。
特に、本格的に争うかについてまだ迷っている際に、とりあえず、専門家のアドバイスが欲しいというような時、小回りがきく相談先としては行政書士が適当かと思います。
≪実際のところは?≫
【離婚が裁判まで行かずに終わりそうなケース】であれば、いずれの士業でも、その専門性に、大差はありません。むしろ、その専門家個人の資質によるところが大きいと考えた方が良いです。
他方、【裁判にまで進む場合】は、弁護士の独壇場です。
(認定)司法書士も一定のケースで訴訟を扱えますが、離婚などの家事事件は扱えません。従って、弁護士と、司法書士・行政書士との間には、明らかに、越えられない一線が引かれております。
もっとも、実際には、訴訟事務というのは、事案が異なっても、何度か訴訟を経験しそのコツさえ掴めば応用が利きますので、(認定)司法書士さんであれば、他に訴訟を扱っているという条件付で、事実上、その相談相手として十分なことも多いのではないでしょうか。
ただし、弁護士でない限り、決して、代理人にはなれませんので、相手(弁護士)との交渉をご自身でやる必要が出てきます。また、離婚訴訟の場合、相手の嘘には閉口するのが普通ですので、「泥仕合に自らは交わず、自分を貶めない」という観点からは、資格の点で中途半端にしか係われない司法書士に相談するよりも、はじめから、弁護士に代理人になってもらった方がスッキリとするのではないでしょうか。
以上、「初期の頃は行政書士、いよいよ本格的に争いになってきたら弁護士」というのが無難な選択です。
弁護士は、調停段階を軽んじている嫌いがありますが、調停の段階から適切な主張をしておくことは、訴訟の段階で、より一貫した主張を展開できるという意味で、大切なことであると思います。
≪費 用≫
報酬額は自由化されていますので、具体的な金額は相談先次第です。
ただ、一般的傾向としては、行政書士 < < 司法書士≦弁護士 と言われます。
これは、行政書士と、弁護士・司法書士との報酬体系の明確な違いに基づくものです。
ちなみに、弁護士への訴訟委任の場合、マニュアル本や、弁護士会の統計資料では、着手金に関し、20万円ぐらいが主流とありますが、最近では、30万円ぐらいをポンと要求してくるのが普通のようです。
また、「離婚そのもの」の案件と、「離婚に関連した慰謝料や財産分与」の案件とは、別案件として報酬等が請求されますので、注意してください。
従って、多くのケースでは、弁護士報酬は、「着手金30万円前後・報酬が60万円前後」というような「離婚のみの案件」での費用では済まないかと思います。慰謝料や財産分与で請求する金額の2割前後の報酬が、追加的に請求されるものと心積もりをしておく必要があると思います。
また、調停と、訴訟とは別案件として、それぞれについて報酬等が必要です。
なお、司法書士についても、(格の違いから、やや安くなるでしょうが)ほぼ同様です。
他方、行政書士については、そのような報酬を請求することができませんので、基本的に、最初に定められた、数万円〜10万円前後までの費用で済むと思います。
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§お勧め資料§
● 『要件事実マニュアル〈5〉
家事事件・人事訴訟・DV』
岡口 基一 (著)
(ぎょうせい 2010年7月)
要件事実とは聞きなれないタイトルの実務家向け専門書。実務上必要となる情報が凝縮されている本なので、本講義でもテキストに指定しています。
見た目はワケの分からない記述となっていますが、読み方さえ知れば、裁判を戦い抜く上での教本となってくれます。特に、実務上、何か手続の申立てをしようとすれば必要となる「申立ての趣旨」の記載例が網羅的に載っているのが、魅力的。
弁護士に頼らずに自分で裁判をやり抜けるには、結局、多様な「申立ての趣旨」の記載例を知る必要がありますので、ネット検索で方々を駆けずり回るよりは、信頼性のあるこの本を手元においておくのが、早道です。
● 『損しない傷つかない
離婚の本』
太田 宏美 監修
(永岡書店 2005年04月)
一般向け図書としての離婚マニュアル本。弁護士が監修。多色刷りと、ポイント毎の図表やチャートなどで、大変読みやすい作りとなっています。内容面でも、手続きについて類書よりも詳しく書かれており、重宝します。
本当に良くできたマニュアル本で、値段も廉価なので、離婚を考えたのなら是非手元におくべき一冊です。
● 『離婚のための準備と手続き』
鈴木 幸子 (監修)
(新星出版社 2007年2月)
一般向け図書としての離婚マニュアル本。弁護士が監修。3色刷りなので、レイアウト的にも分かりやすく、読みやすいテキストであると思います。監修が女性弁護士なので、女性向けに配慮しているような感じがします。値段的にもお手ごろなので、入門書としてお勧めします。
● 『離婚解決完全マニュアル』
馬場澤田法律事務所 (編集)
(中央経済社 2007年4月)
一般向け図書としての離婚マニュアル本。こちらの本は、普通の白黒のあっさりとしたレイアウトもあって、どこかカッチリとした印象を受け、弁護士が書いたものだな〜という感じがする本です。
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