|
目次へ戻る
慰謝料・財産分与、養育費、婚姻費用の相場
実務における金額の定型化・標準化
|
≪金額の定型化・標準化の進む、実務≫
恋愛・婚姻関係の破綻に基づく法的な解決は、ストーカー・DV問題を除き、基本的にお金による解決となってしまいます。そして、この分野は、交通事故に起因する損害賠償と同様、損害の評価が難しい上、どちらの言い分が真実であるかのかの判断も難しく、あるいは、どちらにもそれなりの言い分があることから、ある程度の賠償額(養育費等も含む)の定型化が進んでおります。
その際、よく実務家によって引かれてくるのが、慰謝料・財産分与についてなら「司法統計」(最高裁HP)です。但し、慰謝料については、平成10年度までしか掲載されていませんが。それらを参考にして大雑把に言えば、次の通りです。
- 【慰謝料】は、400万円までのクラスを累計すると、全体の8割ほどとになる。
従って、一般的な上限は400万円という感じ。
- 【慰謝料】の平均額は、190万円ぐらい。また、現実には、100万円以下のものも多い。
- 【慰謝料】・【財産分与】の双方を合わせた実際的な額としては、500万円ぐらいまで。
≪養育費の相場、算定表≫
子供がいる場合の【養育費】については、慰謝料や財産分与とは別に請求できます。
その際に参照されるのが、2003年4月に裁判官が共同研究して公表した「簡易迅速な養育費等の算定を目指して」(判例タイムズ1111号)の一覧表です。その考え方の解説は他に譲ります。
実際、表に当てはめてみた方が遥かに分かりやすいので、それをご覧になってみてください。判例タイムズのバックナンバー、離婚のマニュアル本(の巻末など)、後掲・最高裁HPの公開資料に掲載されています。
なお、実態としては、子供三人くらいまでであれば、月額2万円〜6万円ぐらいの取り決めが多いそうです。
(参 考)
〆 「子供の養育費について」(最高裁〔東京地裁・家裁〕HP)
(※ このページにある養育費算定表のリンクは、リンク切れになっています。)
〆 「養育費算定表の使い方」(最高裁HP)
〆 「養育費算定表」(最高裁HP・上記ページ下部のPDFファイル)
(※ こちらのリンクは、2010年10月現在、存在しています。)
≪婚姻費用の分担請求≫
離婚までいかずに【別居】にとどまる場合でも、【婚姻費用の分担請求】というものができます。これについても、先の「養育費の一覧表」と同時に、公表されています。
但し、上記リンク資料ではカットされていて、残念ながらみれません。判例タイムズ本誌などに当たれない場合、目安として、ごくアバウトに、「養育費の1.5倍ぐらいの金額水準で推移している」と覚えておきましょう。
例えば、年収400万円のサラリーマンの家庭で、子供を一人つれて別居をした妻であって、かつ、専業主婦で無収入もしくはパートで125万円くらいまでの収入の場合、月額6〜8万円となります。但し、夫の年収が375万円未満になると、ワンランク下の4〜6万円のクラスになりますので、妥協点は、5〜7万円ぐらいではないでしょうか。
【関連トピック】
◆「離婚、婚約トラブルの相談先、専門家の選び方」
◆「離婚裁判、弁護士に頼まなくても大丈夫?」
◆「離婚裁判、本に書かれていない厄介なトラブル」
◆「離婚、別居を考えているけれど・・・、準備すべきことは?」
◆「離婚、弁護士費用(報酬)は、どのぐらい?」
拍手で応援
お願いします! リスト一覧へ
|
ページトップへ
|
§お勧め資料§
● 『要件事実マニュアル〈5〉
家事事件・人事訴訟・DV』
岡口 基一 (著)
(ぎょうせい 2010年7月)
要件事実とは聞きなれないタイトルの実務家向け専門書。実務上必要となる情報が凝縮されている本なので、本講義でもテキストに指定しています。
見た目はワケの分からない記述となっていますが、読み方さえ知れば、裁判を戦い抜く上での教本となってくれます。特に、実務上、何か手続の申立てをしようとすれば必要となる「申立ての趣旨」の記載例が網羅的に載っているのが、魅力的。
弁護士に頼らずに自分で裁判をやり抜けるには、結局、多様な「申立ての趣旨」の記載例を知る必要がありますので、ネット検索で方々を駆けずり回るよりは、信頼性のあるこの本を手元においておくのが、早道です。
● 『損しない傷つかない
離婚の本』
太田 宏美 監修
(永岡書店 2005年04月)
一般向け図書としての離婚マニュアル本。弁護士が監修。多色刷りと、ポイント毎の図表やチャートなどで、大変読みやすい作りとなっています。内容面でも、手続きについて類書よりも詳しく書かれており、重宝します。
本当に良くできたマニュアル本で、値段も廉価なので、離婚を考えたのなら是非手元におくべき一冊です。
● 『離婚のための準備と手続き』
鈴木 幸子 (監修)
(新星出版社 2007年2月)
一般向け図書としての離婚マニュアル本。弁護士が監修。3色刷りなので、レイアウト的にも分かりやすく、読みやすいテキストであると思います。監修が女性弁護士なので、女性向けに配慮しているような感じがします。値段的にもお手ごろなので、入門書としてお勧めします。
● 『離婚解決完全マニュアル』
馬場澤田法律事務所 (編集)
(中央経済社 2007年4月)
一般向け図書としての離婚マニュアル本。こちらの本は、普通の白黒のあっさりとしたレイアウトもあって、どこかカッチリとした印象を受け、弁護士が書いたものだな〜という感じがする本です。
|