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[【答弁書】 「本案前の答弁」とは?]
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≪本案前の抗弁 知ったときには、すでに行使不可!?≫
本人訴訟の場合、「本案前の抗弁」なる言葉を知った時には、既に、抗弁の提出時期を逸しているのが普通です。
というのも、この「本案前の抗弁」は、「本案前」とありますように、本案、つまり、「権利のあるなし」に関わる本題の前に解決されるべき事柄のことをさしており、一旦、本案についての審理が始まってしまうと、「本案前の抗弁を提出できない」(権利の喪失)との取り扱いになっているからです。
「本案前の抗弁」の具体例としては、訴えが形式的要件を満たしておらず不適法として却下されるべきであるとの主張や、管轄違いの主張などがあります。通常は、後者の「管轄違い」が切実な話となるぐらいです。
ただし、訴えの利益などの一定の公益的事項については、裁判所の方で職権により判断されることがあります。
≪提出の仕方は?≫
それでは、この「本案前の抗弁」は、どのようにして主張を提出していくのでしょうか?
結論的には、『答弁書』において記載しておくことになります。
より具体的には、タイトルも、「本案前の答弁」というような題をつけ、請求の趣旨を「本件訴えを却下する」とか、「本件を○○地方裁判所に移送する」とかを記載することになります。
その際、本案についての答弁も、普通は、一緒に記載することになります。この場合、先に本案について答弁したとして、本案前の抗弁の主張機会は喪失しません(例えば、応訴管轄は生じません)。
では、なぜ、本案の答弁も一緒に記載するのでしょうか?
それは、本案前の抗弁が認められない場合、あるいは、認められて移送等が行われた場合、その後に控える本案についての審理に備えてなのです。
つまり、別個の書面を提出する手間が省けますし、また、本案前の抗弁が退けられた場合、本案についての答弁を記載しておかないと、主張がないもの(相手方主張を認めるもの)と扱われかねない危険もありますので、それを避けるうえでも記載しておくべきとされるのです(右欄掲載・大島明『書式 民事訴訟の実務(7版)』322頁参照)。
もっとも、移送の申立てなどの場合、期日そのものが取り消されて延期と言うこともありますが。
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>> 専門家でない普通のあなたが裁判をするには? そのノウハウを解説
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§お勧め資料§
● 『法務担当者のための
民事訴訟対応マニュアル』
田路 至弘 編著
(商事法務 2005年10月)
「答弁書」について、類書の中でしっかりとした記述があるのは、この本。
特に、74ページ以降で、「答弁書の記載事項」とあって、(1)「本案前の申立て・答弁」、(2)「請求の趣旨に対する答弁」、(3)「請求の原因に対する認否」、そして、(4)「被告の主張」と項目分けされて解説されており、コンパクトながら、(類書ではそれらの解説すらあまりないので)重宝します。
また、答弁書のサンプルもありますし、更には、「被告の対抗手段」「若干の理論的問題」としてまとめて解説されている項目も面白いです。
総評としては、「答弁書について知りたい!」という初心者さんであれば、とりあえずこの本ぐらいからはじめるのが無難ではないでしょうか。
● 『書式 民事訴訟の実務』
大島 明 著
民事法研究会
典型的な訴訟類型を想定しての訴状サンプルが豊富に掲載されている反面、答弁書については少なめです。ただ、答弁書の章で、しっかり書かれたモデル答弁書が掲載されていますので、総合的にみればそのイメージをつかめるでしょう。
また、注で書かれている形式面での注意書きが、痒いところに手が届くという感じで役立つことが多いです。
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