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Lawschool 趣味の法律セミナー
[もう一度確認、本当に、訴えて割に合う?]
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本人訴訟の場合、最後の落とし穴と言うべきものが、裁判の後に待っています。
それは、「無い袖は触れない」というやつです。裁判で勝った、でも、いざ取り立てようとしたら、財産が見つからない! という話は、その気になって探せばごろごろと転がっています。
しかも、当てにしていた銀行預金は銀行側の担保になっているとか、給料は既に退職していて支払われないとか、退職金は規定に満たず支払われないとか。不動産にしても、名義が親族に変わっているとか・・・。
それでも、空振りでも執行手続きをやってみたい、という気持ちは起こるかもしれません。
しかし、これまた、先に費用を予納しての持ち出しとなります。そして、案の定、執行が空振りとなった場合、執行費用はあなたが肩代わりさせられ、それだけ、相手に対する債権が増えるだけという、「絵に描いた餅」が大きくなるだけなのです。
従って、訴訟に踏み切るにしても、相手を選ぶことと、どのような目的をもたせたいのか、を常にハッキリさせてください。場合によっては、同じく労力を刑事告訴の為に費やした方が良いかもしれませんので。その場合、訴訟に踏み切って相手の口を堅く閉ざさせる前に、色々と言質を引き出して、証拠に残しておくべきことが優先されるかもしれません。
もっとも、弁護士を立てたからといって、必ずしも、これらの点をスクリーニングしてくれるわけではありません。
結局、「何の為に裁判をしたのか・・・」と骨折り損にならない為にも、しっかりと見定めてください。
なお、財産探しの難しさについてのコラムが、最高裁のHPにありますので、ご紹介しておきます。
⇒ 「新しい民事執行制度 −財産開示手続について−」(最高裁HP)
【追記】
裁判をする場合の苦労について著された本を読んでみると良いでしょう。執行段階の空振りの話のみならず、裁判そのものの手間や面倒くささなどが分かってきます。
素人の体験記もありますが、その場合は、素人ゆえの誤解や思い込みもあろうかと思いますので、今回は、弁護士の執筆によるものをご紹介しておきます。
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● 『司法改革』
浜辺 陽一郎 (著)
司法改革 (文春新書) [新書]
10年から前の著作となりますが、読んでみると、ちっとも変わっていな、と思わせられる一冊。
3章以下は、当時の裁判員導入の是非などについて論じたものですから、まずは、1章・2章の70ページほどをお読みなってみてください。それで、裁判をするうえでの手間がうかがい知れるのではないでしょうか。
NHKの生活笑百科を例に挙げてのお話などもあり、「権利があるか、ないか」の問題よりも、「どうやって解決していくのかの手続き」が大事であることが説明されていたりします。
● 『新版 裁判の秘密』
山口 宏 (著)
宝島SUGOI文庫) [文庫]
こちらは、弁護士視点で愚痴を綴ったような一冊。その為か、やや品がなく、裁判官に対する偏見があるのではないかと思われる嫌いもありますが…、一方で、ザックバランに書かれているので、実務の苦労や実情を知ることができます。
裁判の進行の遅さ、強制執行の無力さ、弁護士の仕事の実情などなど。
更には、こんな暴露まであって、興味深いです。
「弁護士の大半は、弁護士になりたての頃は、自分は公益=法秩序と、依頼者の利益と二股かけて仕事をする。どちらにも片寄らないぞと本気で思って仕事をする。ところが、やっていくうちに、そんなことではとても商売にならないということに気がついて、依頼者のためには嘘もつくし、悪いこともするようにだんだんなっていく。それもほどほどに、ということであり、あまり悪いことをすれば自分が捕まってしまうから、微妙なバランスの上に立って生きている」(旧版234ページ「裁判官とはこんな人種だ」より)。
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>> 専門家でない普通のあなたが裁判をするには? そのノウハウを解説
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§お勧め資料§
● 『法務担当者のための
民事訴訟対応マニュアル』
田路 至弘 編著
(商事法務 2005年10月)
民事訴訟手続きの全般について、本格的な解説およびサンプル書式がそろった、一般向けのマニュアル本です。
目次ページで紹介した新銀座の『Q&A』から、次のステップアップにはこの本が適当ではないでしょうか。
執筆人は弁護士ですし、また、出版社も法律専門誌を扱う商事法務、そして、この本のメインのターゲットがそのタイトルにもあるように企業の法務担当者ですので、本書の全般的な評価としては、内容面において使い勝手の良いマニュアル本だと思います。
● 『書式 民事訴訟の実務』
大島 明(民事法研究会 2012年5月)
民事訴訟をする上での基本的な手続きの解説とともに、書式のサンプルが載っている実務書です。各種の訴訟類型ごとの訴状・準備書面等の記載例も載ってもいます。
書式のサンプルを探しているような初心者の場合、不確かなネットのものよりも、まずは、著者が明らかな、こういうテキストの記載例を参照することの方が無難だと思います。
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