|
目次へ戻る
過払金トラブル、返還請求しようと思い立ったけれど…、どこに相談したら?
報酬・費用はどのぐらい?
|
≪相談先の選び方≫
いわゆる過払金(返還)請求についての相談先は、弁護士、認定司法書士です。
他方、行政書士はもとより、ただの司法書士(認定司法書士でない司法書士)についても、訴訟事務を正面から扱うことはできませんので、相談先としてはあまり適切ではありません。
ただ、司法書士については【裁判所提出書類】の作成・相談の資格があり、それにかこつけて相談に応じてくれるかと思います。なお、(法務省)民事局の見解によれば、【裁判所提出書類】とは訴状や準備書面をも含み、それらの相談に応じることも業務の範囲内とのことです。
もっとも、認定司法書士の制度ができた今となっては、同じく司法書士に相談するのであれば、格別の理由がない限り、認定司法書士を選択する方が無難ではないでしょうか。また、「民事紛争の法律相談については、認定司法書士になって初めてできる」との法律の規定振りに照らせば、【裁判所提出書類】の作成事務にかかる相談が、法律相談にわらる相談を許容する趣旨であるのかについても疑義が残るところです。
他方、行政書士に関しましては、例えば、「損害賠償請求【書】」の作成を、権利関係文書の作成として相談に乗っているように、法律相談にわたらない範囲で、「取引履歴の開示請求書」や、「不当利得の返還請求書」の作成に関して相談に乗ることは可能なのかもしれません。
実際、後述しますように、過払金の返還請求訴訟は、法律の素人であっても、マニュアル本を片手に簡単に訴訟をやり通すことができますので、この問題に関心のある行政書士であれば、相談相手として十分なことも多いと思います。行政書士も、(試験科目の関係で)ひと通り民法を勉強しており、まったくの素人よりその理解が早いと言えるでしょうし。
≪ワンストップ・サービスなら、弁護士・認定司法書士≫
ただ、訴訟までも含めてのワンストップ・サービスという意味では、弁護士・認定司法書士が適切です。
このうち、弁護士と認定司法書士の両者を比べますと、強いて言うならば、この問題に近年力を注いできたのは司法書士業界でしたので、認定司法書士の方が、よりこの問題に特化した専門家が多いと言えるかもしれません。
ただ、認定司法書士の場合、控訴審以降の代理人資格がありませんので、一審の判決に不服の場合、「控訴状の提出」の代理まではしてくれますが、控訴審そのものの代理はしてくれません。その場合、ご自身で本人訴訟を追行するか、あらためて弁護士に依頼するかになろうかと思います。相手方から控訴された場合についても、同様です。
もっとも、本人訴訟といっても、一審の裁判資料を援用すれば基本的に足りる場合が多いでしょうし、また、それまでの司法書士さんが事実上相談に乗ってくれることでしょうから、「それほど不都合はない」のかもしれません。
なお、弁護士と司法書士との間での業際・職域争いについて、参考までに。
◆ 「過払い返還請求訴訟」をめぐる弁護士・司法書士の縄張り争い」
(http://diamond.jp/series/inside/09_08_08_001/)
≪報酬は?≫
弁護士等の報酬は自由化されており、定価というものはありません。ただ、後掲の参考文献(旧3版・2008年刊行)22頁によれば、(A)のみの請求とするところが多く、また、これに(B)を加えた請求をする弁護士等もそれなりにあるとのことです。
(A) 貸金業者1社につき、着手金2万円+報酬金2万円+回収できた金額の20%
(B) 元の約定利息による残高の10%
リスト一覧へ
|
● 『Q&A 過払金返還請求の手引(4版)』
名古屋消費者信用問題研究会 編著
(民事法研究会 2010年6月)
過払金返還請求訴訟を(自分で)やろう思うなら、お勧めなのが、この本。
基本的な論点となるべき箇所が網羅され、その上、各種訴訟資料のサンプル、利息計算用のエクセルシートのデータファイルまで付属されており、実務者向けの完全なマニュアル本となっています。
値段的には、3版の3000円からするとやや高くなりましたが、執筆者が弁護士なので、内容面での正確性にも安心があります。
この本を買って手元に置きつつ、なお不明な点について他の本を立ち読みなどでつまみ食いすれば、事足りるのではないでしょうか。
|
|
ページトップへ
|
§お勧め資料§
● 『簡裁消費者訴訟の実務』
司法書士執筆の訴訟実務本。消費者訴訟の分野について、主要な領域がカバーされており、かつ、近年過払いバブルに湧いていた司法書士業界だけあって、過払金返還請求などに取り組もうとする駆け出し実務家向けのマニュアル本(専門書)となっています。
従って、過払金返還請求を初めとした債務問題で、本人訴訟を考えるのであれば、これをお勧め。
訴状記載例などの書式サンプルも豊富なうえ、記載例それ自体もある程度のまとまりのあるものとなっており、素人には非常に参考になるのではないかと思われます。
|