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過払金トラブル                                 目次へ戻る


  「専門家の言うことだから」と、鵜呑みにしない!
  



≪「専門家の言うことだから」と、鵜呑みにしない!≫


過払金のトラブルの相談先と言えば、弁護士や(認定)司法書士です。

ただ、あまり、専門家だからといって安心ばかりしていてはいけません。手馴れすぎていて、依頼者の利益よりも、代理人にとってのコストパフォーマンスが優先されてしまうといったトラブルも、ちらほらと漏れ聞こえてくるところです。特に、交渉や訴訟経過についての報告がなかったり、勝手に請求金額の値切りに応じたり、といった点で不満を抱くケースが後をたちません。

例えば、著名なQ&Aサイトで、こんな投稿がされているのを見かけたことがあります。

(質問の概要)

先日、過払金の(返還)請求に関して、法律事務所にアポを取り、その場で委任契約書を取り交わし、依頼に至ったのですが。気になったのが、担当される事になった弁護士のお話です。

まずお会いして、私の話を聞くより先に、「過払請求は減額される場合が多い」と切り出し、また、話の途中にも、同趣旨の話を何度か繰り返し仰っていました。

また、一番不安に感じたのは、「今後は 法律事務所の采配だけで、相手先との話し合いを進めるので、事務所から依頼者へ連絡を取る事はない」との点です。これは、訴訟に至る前に相手と折衝した場合でも、同様、法律事務所からは何の連絡もしない、とのお話でした。




他方で、「過払金バブル」というマスコミ用語が生まれるほどの活況を呈していたとの報道や、巨額の脱税の報道などもありますので、代理人の説明について、何か釈然としないものを感じたら、納得がいくまで説明を求めるべきです。また、そのような説明すらも拒むとなると、もはや信頼関係などあったものではありませんので、代理人の解任・変更を検討されるべきでしょう。

実際問題、この過払金返還請求の構図として、消費者金融などにしてみれば、「(引きなおし計算が正しい限り)裁判になれば、ほぼ100%負けるので、債権カット含みのお手ごろな和解が好ましい」でしょうし、また、代理人の弁護士・司法書士さんにしてみても、「訴訟まで突き進めば、時間も、手間も(無駄に)かかるだけであり、それならば効率的なやり方として、早期に、消費者金融と和解で解決をした方が、事件離れもよく、楽してお金が転がり込んでくる」という感覚でしょう。

従って、構造的に、依頼人の犠牲の下で、代理人の利益が増すという事件類型ですので、依頼先の先生が、そのあたりを悪用していないか、ご注意ください。


 ◆ 「『過払い金』返還をめぐり 司法書士・弁護士とのトラブル相次ぐ」(抜粋)
   (J-Cast 2009年11月22日10時00分 http://www.j-cast.com/2009/11/22054425.html)

過払い金返還請求に関して、司法書士・弁護士の対応をめぐるトラブル相談が徐々に目立ち始めていたという。被連協へは、司法書士・弁護士と直接相談できない、途中経過の報告がない、ヤミ金融事件は取り扱ってくれない、といった相談が寄せられている。中でも多いのは、司法書士・弁護士への高い成功報酬に関する相談だ。




 ◆ 「『報酬取りすぎ』弁護士を懲戒 取り戻し額の3分の2」
   (朝日新聞 2009年12月4日2時52分)
   (http://www.asahi.com/national/update/1204/TKY200912030503.html)

第二東京弁護士会(川崎達也会長)は3日、会員の小林優弁護士(80)を業務停止3カ月の懲戒処分にした、と発表した。消費者金融への過払い金請求などの債務整理を引き受け、依頼者の女性が取り戻した額の約3分の2にあたる118万円余を十分な説明もなく報酬などとして受領。書類も「捨ててしまった」と返さなかったという。

弁護士報酬については現在、規定がないが、過払い事件の場合は依頼者の得た利益の20%程度が相場だという。同会は「極めて高率の報酬で、これだけ取るのなら十分説明する必要があった」と判断。小林弁護士は電車内の広告などを通じて多くの債務整理を受任しており、同会は「類似の事例がほかにもあるおそれがある」とみている。

同会によると、小林弁護士は昨年1月に事件を受任。業者との和解などの結果、依頼者は約179万円の利益を得たが、小林弁護士は(1)着手金(2)着手金と同額の報酬(3)別途報酬(4)事務所経費――の名目で約118万円を受け取った。同会の調査に対し、小林弁護士は依頼者との間で交わしたという契約書も提出したが、印鑑の状況などから、未完成のまま、依頼者に印鑑を押させていた可能性があるという。






≪こんなニュースも≫


 ◆ 「報酬隠し:司法書士ら120人10億円 福岡国税局が追徴」
   (毎日新聞2009年10月19日10時25分)
   (http://mainichi.jp/select/wadai/news/20091019k0000e040015000c.html)

(記事より抜粋)

福岡、佐賀、長崎の認定司法書士や弁護士計約120人が福岡国税局の税務調査を受け、07年2月までの3年間で、過払い金返還請求の代理人として得た報酬計約10億円に対し、所得隠しや申告漏れを指摘されていたことが分かった。国税局は重加算税を含む計約3億5000万円を追徴課税した。

国税局によると、約120人のうち7〜8割が司法書士。返還の成功報酬を隠すため、過払い金の全部または一部を業務用の口座とは別に開設した私用口座に振り込ませるなどしていた。報酬分は簿外処理したり、一部しか計上しない「つまみ申告」をしたりして所得を隠ぺい。同局はうち15人に「故意で悪質」として重加算税を課した。

最高約5600万円を追徴課税された福岡県の司法書士の場合、依頼者から預かった通帳の口座に過払い金を振り込むよう貸金業者に指定。通帳を返す前に代理人報酬分を現金で引き出すなどの手口で、計約1億円を簿外処理していた。





 ◆ 「『過払い訴訟バブル』報酬9000万脱税?司法書士を告発」
   (読売新聞2008年12月12日03時03分)
   (http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081212-OYT1T00035.htm)

(記事より抜粋)

東京・西麻布で開業する平田季則(としのり)・司法書士(38)が2007年までの2年間で約2億4000万円の所得を隠し、所得税約9000万円を脱税したとして、東京国税局から所得税法違反の疑いで東京地検に告発されたことがわかった。

  (中略)

最高裁が04〜06年に利息制限法と出資法の二つの上限金利の間にあるグレーゾーン金利を事実上認めないと相次ぎ判断。弁護士や司法書士業界では「過払いバブル」と呼ばれるほど、債務者がグレーゾーン金利分の返還を求めて貸金業者を簡裁に訴えるケースが急増し、平田司法書士も大幅に収入を伸ばした。



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●  『Q&A 過払金返還請求の手引(4版)』
   名古屋消費者信用問題研究会 編著
   (民事法研究会 2010年6月)

過払金返還請求訴訟を(自分で)やろう思うなら、お勧めなのが、この本。

基本的な論点となるべき箇所が網羅され、その上、各種訴訟資料のサンプル、利息計算用のエクセルシートのデータファイルまで付属されており、実務者向けの完全なマニュアル本となっています。

値段的には、3版の3000円からするとやや高くなりましたが、執筆者が弁護士なので、内容面での正確性にも安心があります。

この本を買って手元に置きつつ、なお不明な点について他の本を立ち読みなどでつまみ食いすれば、事足りるのではないでしょうか。









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§お勧め資料§



● 『簡裁消費者訴訟の実務』

司法書士執筆の訴訟実務本。消費者訴訟の分野について、主要な領域がカバーされており、かつ、近年過払いバブルに湧いていた司法書士業界だけあって、過払金返還請求などに取り組もうとする駆け出し実務家向けのマニュアル本(専門書)となっています。

従って、過払金返還請求を初めとした債務問題で、本人訴訟を考えるのであれば、これをお勧め。

訴状記載例などの書式サンプルも豊富なうえ、記載例それ自体もある程度のまとまりのあるものとなっており、素人には非常に参考になるのではないかと思われます。




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