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過払金の返還請求、本人訴訟でも大丈夫?
自分でやるなら、どうしたら? 費用は、どのぐらい?
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≪作業内容に、高度な専門性は不要≫
「消費者金融に対して、過払金の返還請求を!」という標語は、随分と知られるようになりました。
この事実は、それぐらいに、多数の訴訟があったということを示唆しております。そして、その多数の訴訟の結果、今日では、ある論点について、法律的にどのような回答が与えられるべきか、の答えが出尽くしています。その為、過払金の訴訟については、実は、本人でも十分対応することが可能な訴訟事案となっています。
実際、ネットで検索をかければ、この過払金返還請求訴訟に関して、本人訴訟のやり方を教えてくれる多くの情報がヒットすることでしょう。また、書店に走れば、マニュアル本も多数出ております。
実のところ、弁護士・司法書士に事件を委任したところで、基本的には、事務員が処理をしていることが多いぐらいです。先日、WBSニュースの報道特集「まさか就職難弁護士不況時代」(2009年12月08日放送)でも、“実質的にはパソコンに数値を入力していくだけの作業であり、必要なのは事務員であって弁護士ではない(約300人の事務員に対して、弁護士は20数名との構成比)”、との趣旨の解説が為されていました。
つまり、それぐらいに、やるべき作業の内容は、「慣れが必要」という意味での専門性が要求されるだけなのです。
≪訴訟と言っても、マニュアル化≫
そもそも、この過払金請求の手続きで必要とされる作業は、消費者金融が滞納者へ請求する場合の作業と、ほとんど変わりません。
そして、この債権の取立て訴訟が法律の素人でも(マニュアル片手に)簡単にできることを証明してみせたのが、消費者金融各社でした。更には、過払金の返還請求訴訟で訴えられた場合でも、法律の素人で対応できるようにマニュアル化してみせたのも、消費者金融各社です。
然るに、消費者金融の社員(従業員)が、弁護士のような専門家なのかといえば、そうではありません。
従って、訴訟対応が必要といっても、その程度のものだと思って、気を楽にしましょう。
まして、法律の専門家の弁護士などであっても、「過払請求は減額される場合が多い」と言うぐらいです。ならば、それら専門家の経験に倣って、あなたも、「ほどほどで和解して終わらせること」を目標に掲げれば、よりゴールが近くなるのではないでしょうか。
要するに、まず、@マニュアル本に従って過払金の引きなおし計算をする、ついで、Aマニュアル本の定型のヒナなどをみて訴訟を提起する、その後、B多少の不備を、書記官と裁判官の指示に従い訂正する、そして、C和解の話が出てきたら、そこで上手くまとめる、という流れに乗ればよいだけです。
なお、弁護士・司法書士へ、債務問題の事件の委任をお考えならば、どちらかといえば、債務整理の場面で活用してみてください。その場合、「債務者への直接の取立てが禁止される」という効果があり、心の平穏が得られますので、本当に、ありがたく感じられると思います。
≪何から手をつけるべきか?≫
まず、マニュアル本の一冊には目を通しましょう。
場合によっては、裁判を起こす必要もあるのですから、それら予習が必要です。個人的、お勧めなのは、下に掲載しておきましたが、『過払金返還請求の手引』(民事法研究会)です。
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● 『Q&A 過払金返還請求の手引(4版)』
名古屋消費者信用問題研究会 編著
(民事法研究会 2010年6月)
過払金返還請求訴訟を(自分で)やろう思うなら、お勧めなのが、この本。
基本的な論点となるべき箇所が網羅され、その上、各種訴訟資料のサンプル、利息計算用のエクセルシートのデータファイルまで付属されており、実務者向けの完全なマニュアル本となっています。
値段的には、3版の3000円からするとやや高くなりましたが、執筆者が弁護士なので、内容面での正確性にも安心があります。
この本を買って手元に置きつつ、なお不明な点について他の本を立ち読みなどでつまみ食いすれば、事足りるのではないでしょうか。
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§お勧め資料§
● 『簡裁消費者訴訟の実務』
司法書士執筆の訴訟実務本。消費者訴訟の分野について、主要な領域がカバーされており、かつ、近年過払いバブルに湧いていた司法書士業界だけあって、過払金返還請求などに取り組もうとする駆け出し実務家向けのマニュアル本(専門書)となっています。
従って、過払金返還請求を初めとした債務問題で、本人訴訟を考えるのであれば、これをお勧め。
訴状記載例などの書式サンプルも豊富なうえ、記載例それ自体もある程度のまとまりのあるものとなっており、素人には非常に参考になるのではないかと思われます。
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