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  [表題部分の記載方法]


訴状を書こうシリーズ、第3回目です。

前回は、最高裁の雛形は一つのテンプレートに過ぎないので、ワード文書で作成することを勧めました。そこで、今回は、訴状としての態をなす上で、どのような項目を書く必要があるのかについて説明します。



≪法律の規定事項≫

まず、訴状の必須事項として、民事訴訟法という法律で規定されているのは、次の3点です。


■ (引用・民事訴訟法133条訴え 提起の方式)++++++++++++

【1項】
訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない。
【2項】
訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
   一号 当事者及び法定代理人
   二号 請求の趣旨及び原因


■ (引用・民事訴訟規則53条 訴状の記載事項・法第百三十三条)

【1項】
訴状には、請求の趣旨及び請求の原因(請求を特定するのに必要な事実をいう。)を記載するほか、請求を理由づける事実を具体的に記載し、かつ、立証を要する事由ごとに、当該事実に関連する事実で重要なもの及び証拠を記載しなければならない。
【2項】
訴状に事実についての主張を記載するには、できる限り、請求を理由づける事実についての主張と当該事実に関連する事実についての主張とを区別して記載しなければならない。
【3項】
攻撃又は防御の方法を記載した訴状は、準備書面を兼ねるものとする。
【4項】
訴状には、第一項に規定する事項のほか、原告又はその代理人の郵便番号及び電話番号(ファクシミリの番号を含む。)を記載しなければならない。

  +++++++++++++++++++++++


つまり、@当事者が誰であるのか、A「請求の趣旨」なるもの、及び、B「請求の原因」なるもの、この3つを書いてさえいれば良いのです。

これに加えて、最高裁が定める規則に拠れば、C「請求を理由づける事実」と、D「原告等の郵便番号及び電話番号」が必要です。



≪具体的に書いてみよう≫

さて、具体的に起案してみましょう。

まず、(A)表題をつけます。即ち、「訴状」と。

次に、(B)日付も入れておきましょうか。平成XX年XX月XX日、と。

これは、提出日でも、作成日でも構いません。訴状としての受理日自体は、裁判所によってスタンプされた日付になりますので、日付を誤魔化せるとかの実益はあまりありません。


次に、(C)提訴しようと思う裁判所名を記入してください。

例えば、「XXX地方裁判所 御中」と。それから、文書を作成した者の名義として、例えば、原告の名前を記載します。

ここまでは、ビジネスマナーと同じですので、法律に書いていないからといって書かないで良いものではないでしょう。


次に、(D)【@当事者】の表示です。

即ち、自分の名前と、訴える相手の名前を書きましょう。先の文書作成名義として原告が記載されていても、重複するようですが、改めて表示ます。そして、規則の要件である、【D郵便番号及び電話番号】と付記します。

また、この際に、「送達先」の指定をしておきます。本人訴訟の場合、自分の住所表示に括弧書きで「送達先」等と付記します。これら「当事者の表示」については、例えば、人数が多い場合など、「当事者の表示 別紙参照」として、別のページに記載することも可能です。

なお、送達先は、自分の現住所でなくても構いません。

例えば、職場にいることの方が多くて、そちらに送って欲しいのなら、職場の住所を記載して、送達先・送達場所などと記載しておきます。但し、自分で指定した以上、そのことで見落としたというような言い訳は通じませんので、悪用はできません。


当事者の表示が済んだら、一般的には、(E)「事件名」を適当につけます。

例えば、「損害賠償請求事件」とか、「敷金返還請求事件」とか、「貸金返還請求事件」など。これは、訴える側で、適当に選んでつければよいものです。但し、あまりにも懸け離れた事件名はダメです。

また、(F)「訴訟物の価格」の表示と、「貼用印紙額」、「予納郵券」の記載をしておきます。なお、「郵券」などと言いますが、「切手」のことです。


この(E)や(F)は、別に記載がなくても構いません。

提出の際に、裁判所の書記官さんが、チェックして計算してくれます。その便宜に資する上で書いておくと良い、というようなものです。

但し、記載できるのであれば書いておいた方が、素人っぽさは幾分なくなるかもしれません。

なお、印紙については、貼る部分をわざわざ四角の枠で囲うなどする必要はありません。裁判所の施設内で購入できますので、書記官に購入額を聞いて、買ってきたものを適当に貼ればOKです。


以上で、形式的な記載は終わりです。

残りは、【A請求の趣旨】【B請求の原因】【C請求を理由づける事実】です。これらについては、次の講義としましょうか。




 (記載例:表題部サンプル)


                   訴    状


                                     平成XX年XX月XX日


  大阪地方裁判所 御中

                                      原告  碇 烈蔵



                   当事者の表示

                           〒000−0000(送達場所)
                           大阪府XXXXXX
                           TEL 1234−56−7890
                               原告  碇 烈蔵


                           〒000−0000
                           大阪府XXXXXX
                           TEL 1234−56−7890
                               被告  柳 流輔



 貸金返還請求事件
 訴額    1000万円
 予納郵券  (※書記官に聞いてから記載した方が良いでしょう。)















 ● 訴訟の初歩  始まりは、訴状から
   1 “裁判に対する心構えと、訴状の基礎”
   2 “最高裁の雛形は、あくまでテンプレート”
   3 “表題部分の記載方法”
   4 “【請求の趣旨】の記載方法”
   5 “【請求の原因】の記載方法”
   6 “【請求の原因】の実務的な記載方法”
   7 “訴状を書く上での4つのポイント”

   〆 日弁連の訴状等のサンプル(日弁連)
    自分で訴状をワープロ作成する場合には、
    最高裁のヒナより、サンプルとして適しています。


 ● 訴訟の前段階  内容証明の利用方法
   8 “クーリングオフの概要(特定商取引法の場合)”
   9 “内容証明の利用法”

 ● 小額訴訟と支払督促
   10 “小額訴訟と支払督促、その選択は?”
   11 “内容証明から、訴状への転用”

   〆 小額訴訟の訴状サンプル、書き方

 ● 訴訟費用
   12 “弁護士費用は、訴訟費用?”


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LawSchool  編
 〆 訴 状編
 【訴状】の書き方などの解説。

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