拍手で応援
お願いします♪
|
Lawschool 趣味の法律セミナー
[【請求の趣旨】の記載方法]
|
訴状を書こうシリーズ、4回目です。
前回は、訴状の表紙・表題部分の記載方法を説明しました。それらは、どのような事件であっても基本的に記載方法に変化がありません。
これに対して、訴状の中心部分ともいえる、【A請求の趣旨】【B請求の原因】【C請求を理由づける事実】です。これらは、事案ごとに適切に書き分ける必要があります。
今回は、【A請求の趣旨】について、順を追って説明していきましょう。
≪【請求の趣旨】の場合≫
請求の趣旨とは、ひと言で言えば、裁判所に示して欲しい、結論部分を記載するところです。
例えば、「被告は、原告に対して、金1000万円を支払え」というように。または、「被告は、原告に、A物件を引き渡せ」とか。
このように、「理由」を省いて、「結論」だけを表わすのがポイントです。
この点をおさえれば、後は、それぞれの事件の類型ごとに、言い回しがありますので、それを参考に記載してください。勿論、ここでも、それら定型的な言い回しはあくまで例示なので、同じような表現であれば、ご自身の言葉で書かれてかまいません。
なお、「訴訟費用は被告の負担とする」との記載も、あわせてつけておくのが普通です。
その上で、先の例を用いますと、「被告は、原告に対して、金1000万円を支払え、との裁判を求める」と、「裁判を求める」とか、「判決を求める」とかで締めます。(いずれの記載でも構いません。)
また、裁判が確定する前に、仮に執行ができるようにしておきたい場合には、「仮執行の宣言」を「裁判」の後に挿入しておいてください。
以上をまとめて記載すると、次のようになります。
+++++++++++
【請求の趣旨】
被告は、原告に対して、金1000万円を支払え
訴訟費用は、被告の負担とする
との判決並びに仮執行宣言を求める。
+++++++++++
なお、裁判所に支払う手数料(印紙)は、この請求の趣旨で記載する請求金額(訴額)を基にして決めます。この例の場合、「訴額」は「1000万円」ですね。
従って、それに対応する価格は、5万円となります。
(参考)最高裁HPの手数料一覧のページは、こちら。
http://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/tesuuryou.html
(記載例:訴状サンプル)
|
訴 状
平成XX年XX月XX日
大阪地方裁判所 御中
原告 碇 烈蔵
当事者の表示
〒000−0000(送達場所)
大阪府XXXXXX
TEL 1234−56−7890
原告 碇 烈蔵
〒000−0000
大阪府XXXXXX
TEL 1234−56−7890
被告 柳 流輔
貸金返還請求事件
訴額 1000万円
予納郵券 (※書記官に聞いてから記載した方が良いでしょう。)
請求の趣旨
被告は、原告に対して、金1000万円を支払え
訴訟費用は、被告の負担とする
との判決並びに仮執行宣言を求める。
|
|
>> 専門家でない普通のあなたが裁判をするには? そのノウハウを解説
|
|
|
§お勧め資料§
● 『法務担当者のための
民事訴訟対応マニュアル』
田路 至弘 編著
(商事法務 2005年10月)
訴状の作成をはじめ、裁判のテクニック全般について学びたいのなら、この本。書式のサンプル、具体例も要所において掲載されて重宝します。
訴訟の専門的な知識についても、本人訴訟をする上で必要な分量で解説されており、下手に学問書を齧るより、平易で分かりやすく素人向きの良書だと思います。
本書の最大の特徴は、企業の法務向けの本を謳っているように、類書にはない、ちょこちょこっとした訴訟戦術のような豆知識が盛り込まれていることです。過大な期待はすべきではありませんが、弁護士と接点をもたずに訴訟をする場合、こういった走り書きのようなメモでも大いに参考になるのではないでしょうか。
● 『書式 民事訴訟の実務』
民事訴訟の書式を中心にした実務本。実際に訴訟に参加するならば、書式は知っておくに越したことはありません。手続きの流れに沿って、実務の観点から必要となる解説が付されていますので、本人訴訟を考えるならば、訴訟の手続き面に関しては必須の一冊かと。
勿論、書面の内容をいかに書いていくかについては、実体法などの別のテキストでの勉強が必要となります。
|