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[小額訴訟の訴状の書き方 (サンプル付)]
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訴状の書き方一般は、既に、別の機会にご紹介しました。
今回は、【小額訴訟】との観点から、初歩的な事項と、書き方、手続きをまとめています。
下記サンプルは、「イラストの作画代金(請負代金)請求」の例です。
- 裁判の始まりである訴状を、どこの裁判所に提出するかは、被告の住所地の簡易裁判所が基本となります。
もっとも、あまり深く考えず、お近くの簡易裁判所に訴えを提起し、管轄を主張してみても構いません。
相手が異議を申し立てなければ、合意による管轄が認められたりしますので。
- 少額訴訟が利用できるのは、請求額が60万円以下の場合です(民事訴訟法368条)。
審理は、原則1回で終わります。
年間10回までの利用回数制限に、ご注意ください。
- 用紙はA4縦置き、横書き、左綴じです。
なお、複数ページの場合、割り印が必要との記載が良くありますが、たいていの場合、なくても受理されます。
- 字の大きさは、12ポイントぐらいで読みやすく。
- 部数は、自分の控え、裁判所提出用(正本)1通と、被告用(副本)をその人数分の合計を提出します。
つまり、最低3部作成します。被告の数が増えるに従い、追加してください。
- 印紙及び切手(郵券)は、裁判所で訴状を見せて教えてもらうのが確実です。電話で聞くのもOKです。
印紙、切手ともに、裁判所の構内もしくは近辺で販売されています。
- 当事者に法人がいる場合、法務局で資格証明書または商業登記簿謄本の交付を受け、訴状と一緒に出します。
裁判所と、法務局に順次電話で質問することで解決することでしょう。
※ 以上の内容は、『小額訴訟』と銘打ったマニュアル本であれば記載されていることばかりです。
ご自身で書店などに足を運び、お調べになることをお勧めします。
≪訴状≫
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訴 状
平成21年1月5日
大阪簡易裁判所 御中
原告 御影 春美
【当事者の表示】
〒○○○-○○○○ (送達場所)
大阪市西成区○○○・・・
原告 御影 春美
〒○○○-○○○○
大阪市北区○○○・・・
被告 株式会社トライアルグラフィックス
代表者 御手洗 金好太郎
イラスト作画代金請求事件
訴訟物の価格 金42万円
帖用印紙額
予納郵券
【請求の趣旨】
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1 |
被告は原告に対し、金42万円およびこれに対する平成20年12月1日から支払済まで年5パーセントの割合による金員を支払え。 |
2 |
訴訟費用は被告の負担とする。 |
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との判決ならびに仮執行宣言を求める。 |
【請求の原因】
第1 |
1 |
原告は、平成20年9月14日、被告の社員である山田から、次の約定にて、イラスト作画の委託を受けた(甲第1号証)。
〜〜〜〜〜【契約内容の記載】
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2 |
原告は、その企画の趣旨に沿って、3点のキャラクターを素描し、翌15日に、山田に宛てて電子メールの添付ファイルで送信した。その日のうちに、山田から電話連絡があり、3点のキャラクターの内、Bのキャラクターを基本にして、バリエーションをつけて、再度サンプルを提示してもらいたいと告げられた。
これを受けて、原告は、4キャラの原画を作画し、山田に電子メールの添付ファイルにて送信した。数日後、山田は、B3が今回の企画にマッチしたと告げ、キャラの立ち絵のほか、ゲームシーンの簡単なテキストに沿ったシーン絵の作画を依頼してきた。
〜〜〜〜〜(中略)
11月6日、最終的な修正を施し、CGによる原画37点を、その電子データをCDROMにライティングで書き込み郵送する方法で、被告に納品した(甲第5号証)。翌7日に、山田より連絡があり、原画データを受け取ったこと、代金40万円(税込み42万円)を月末までに振り込むことを告げられた。
しかし、12月になっても、原告の指定口座に被告から代金の振込みはなく、現在に至るまで同様である。
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3
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よって、原告は被告に対し、作画代金42万円およびこれに対する支払期日の翌日である平成20年12月1日から支払済まで年5パーセントの割合による金員の支払いを求める。 |
【証拠方法】
甲1 被告からの依頼書
甲2 被告に対して出した見積書
甲3 被告との打ち合わせ資料
甲4 CGデータ(CDROM)及びそのプリントアウト画像
甲5 配達証明
甲6 原告の陳述書
【添付書類】
1 甲号証 各一通
2 法人代表者資格証明書
3 証拠説明書(甲1〜6)
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>> 専門家でない普通のあなたが裁判をするには? そのノウハウを解説
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§お勧め資料§
● 『法務担当者のための
民事訴訟対応マニュアル』
田路 至弘 編著
(商事法務 2005年10月)
訴状の作成をはじめ、裁判のテクニック全般について学びたいのなら、この本。書式のサンプル、具体例も要所において掲載されて重宝します。
訴訟の専門的な知識についても、本人訴訟をする上で必要な分量で解説されており、下手に学問書を齧るより、平易で分かりやすく素人向きの良書だと思います。
本書の最大の特徴は、企業の法務向けの本を謳っているように、類書にはない、ちょこちょこっとした訴訟戦術のような豆知識が盛り込まれていることです。過大な期待はすべきではありませんが、弁護士と接点をもたずに訴訟をする場合、こういった走り書きのようなメモでも大いに参考になるのではないでしょうか。
● 『簡裁消費者訴訟の実務』
全国青年司法書士協議会 編著
(民事法研究会 2005年)
司法書士執筆の訴訟実務本。
消費者訴訟の分野について、主要な領域がカバーされているので、本人訴訟を考えるのであれば、他のマニュアル本よりは、これをお勧め。
小額訴訟の場面でも、消費者契約法に基づく主張はポイントとなってくることも多いでしょうから、その基本的な知識を得ること、サンプル書式から書き方を体得することに関して役立ってくれるものと思います。
但し、実務本である以上、記載内容は通り一遍のものです。相手もまた素人であれば問題はないでしょうが、弁護士、特に、理論面に強い弁護士を相手に回す場合、力不足であることは否めません。
その場合、この手の実務本に書かれていることを直ちに一般化しないで、本で紹介されている事例と、ご自身の事例とがどのように違うのかを良く見つめなおしてください。
● 『書式 民事訴訟の実務』
民事訴訟の書式を中心にした実務本。実際に訴訟に参加するならば、書式は知っておくに越したことはありません。手続きの流れに沿って、実務の観点から必要となる解説が付されていますので、本人訴訟を考えるならば、訴訟の手続き面に関しては必須の一冊かと。
勿論、書面の内容をいかに書いていくかについては、実体法などの別のテキストでの勉強が必要となります。
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