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Lawschool 趣味の本人訴訟セミナー
[原発損害裁判で、本人訴訟は可能か? その2](2011年11月04日)
「原賠法の免責規定は適用されるのか?」
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≪免責規定の適用の可否≫
原子力損害賠償法の免責規定の適用については、次のようなニュースがありました。
(A) 2011/03/20 19:15 【共同通信】
福島原発、政府賠償1兆円超も 例外規定を初適用へ
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011032001000542.html
(B) 2011/03/25 19:56 【共同通信】
東電に賠償免責の適用ない 福島第1の補償で官房長官
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011032501000993.html
(C) 2011年5月19日10時01分 読売新聞
都内の男性、原発事故で10万円慰謝料請求
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20110519-OYT1T00198.htm
(D) 2011年10月20日13時22分 読売新聞
東電に免責不適用は誤り…株主が提訴、国は反論
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111020-OYT1T00430.htm
ニュースの流れからしますと、当初、免責規定の適用が検討されていたようですが(A)、その後、一転して、その適用を政府は否定して今日に至るようです(B)。
(C)については、必ずしも、東電に対する原発被害の損害賠償請求ではないのですが、既に、東電相手に慰謝料裁判があったそうですので、参考までにあげておきました。
ただ、そのニュースによれば、東電は免責規定の適用を主張する方針だったようです。
“東電側は答弁書で「人の想像をはるかに超え、とてつもない破壊力をもった地震と津波が事故の原因」と
した上で、「異常で巨大な天災地変に対応できる対策を講ずべき義務まではない」と反論する方針。”
(D)が最近のものですが、訴訟そのものはキテレツな形で、国に対する裁判となっています。なんでも、“免責規定の適用を認めなかったことから東電の株価が下がったので、その損害賠償をせよ”、との裁判らしいです。既に、東京地裁で口頭弁論が開かれ、国側は、免責規定が適用されない事例であるとの主張を現実にしているそうです。
残念ながら、この裁判を特定できる事件番号などは掲載されていませんでしたが、原発事故の損害賠償裁判を検討している場合、読売新聞などに問い合わせてみましょう。送付嘱託という手続を活用すれば、自分の裁判で、他の裁判資料を活用する道も開けてもきますので。
“国側は「東日本大震災は免責規定が適用される『異常に巨大な天災地変』には当たらず、東電が損害賠償
責任を負うべきだとした対応は適法だ」と、これまで政府が示してきた見解と同様の主張をし、請求の棄却を
求めた。”
“国側は、この日地裁に提出した書面で、「免責は、人類がいまだかつて経験したことのない、全く想像を絶す
るような事態に限られるべきだ」と反論。「3倍以上という説明は、分かりやすい例えに過ぎない」とした。”
【参考】
⇒ 原子力損害賠償紛争審査会HP (文部科学省)
(続く)
Pickup
【シリーズ】 「原発損害裁判で、本人訴訟は可能か?」
2011/12/16 「その7/債務超過でも、なぜ、東電は倒産しないのか?」
2011/12/09 「その6/仮払金をもらっても、裁判は可能なのか?」
2011/12/02 「その5/弁護士の見解、国の不作為責任」
2011/11/25 「その4/免責規定、肯定説の真意とは?」
2011/11/09 「その3/原子力損害賠償支援機構法?」
2011/11/04 「その2/原賠法の免責規定は適用されるのか?」
2011/10/24 「その1/東京電力を訴えればよい、と言われても・・・」
【コンテンツ】
2011/10/18 「最高裁が是認!? スパム投稿の自由」
【Blog】
2011/11/08 「追い出し被害対策巡り消費者団体訴訟 関西のNPO提訴 (朝日新聞)」
2011/07/15 「中小企業の連帯保証人、経営にかかわる人に限定 (朝日新聞)」
2011/07/03 「経営状況分析手数料の無料等の取扱いについて ((財)建設業情報管理センター)」
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≪コンテンツ(電子書籍)の紹介≫
『本人訴訟のタクティクス 訴えの提起編』
編著 本人訴訟の輪
要件事実とは、従前は、司法試験に合格した司法修習生を主たる対象として、民事訴訟の実務科目として為されていたものでした。ところが、法科大学院のスタートにより、その教育現場での科目として採用されるに至ったことから、いっきに、その存在が知られるようになりました。
学習書としては、『紛争類型別の要件事実』と、『問題研究要件事実ー―言い分方式による設例』(いずれも、司法研修所編・法曹会出版)がベーシックなものとなります。
しかし、そもそも、民事訴訟法のテキストも読んだことがなく、それどころか、民法の体系書を通読したことすらない素人にとっては、読んだところで効果的でない分野です。つまり、ある程度学習の進んだ方でないとその有用性が理解できない、そういう次元の書物だと思います。
他方、今回取り上げる岡口基一『要件事実マニュアル』は、『紛争類型別』などがテキストだとすれば、参考書に当たるよな書籍です。そして、こちらは要件事実そのものを理解すること以外にも活用できますので、素人にとってもその活用が検討されるわけです。
そこで、本書において、その素人なりの付き合い方について若干の考察をしてみました。
本書は、シリーズ「本人訴訟のタクティクス」から、訴えの提起編のコンテンツをセレクトしたものです。
収録タイトル
1 訴訟手続きを学習する まずは、この100ページ!
2 どうしても知っておくべき基礎知識
3 「請求の特定」はプロでも難しい?
4 訴状の記載、簡略なものがプロらしい?
5 岡口・要件事実マニュアル 素人なりの付き合い方は?
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>> 専門家でない普通のあなたが裁判をするには? そのノウハウを解説
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§お勧め資料§
● 『震災の法律相談Q&A (2版)』
弁護士法人淀屋橋山上合同 編著
(民事法研究会 2011年11月)
多くの項目をQ&A方式で扱っており、震災の法律関係について基本的にどのようになっているかを知るのに便利な一冊です。NHKの生活笑百科のような感覚で、実体関係について調べることができます。
ただ、あくまで専門書ですので、素人がそれだけを読んで自分で裁判までできるかと言えばそのようなものではありません。むしろ、弁護士に相談する前や、弁護士に本格的に相談したいと考えるような方が、基本的な法律知識を得る為に活用すべき一冊です。
● 『原発事故の訴訟実務
風評損害訴訟の法理』
升田 純
(学陽書房 2011年12月)
色々な法律実務書をお書きになっている升田先生の御著書です。前半パートでは、必ずしも風評被害に限定せず、震災に関する法律問題を一般的に扱っておられます。後半パートでは、風評被害についての過去の裁判例などの紹介となっています。おそらく、風評被害の著作を、急遽、震災問題と結びつけられたのではないかと想像するような著作となっています。
● 『震災の法律相談』
小倉秀夫ほか 著
(学陽書房 2011年06月)
分かりやすい記述で、震災の法律問題を全般的に取り扱っています。ただ、それほど専門的な内容にまで踏み込んでいないような感じもします。どちらかといえば、さわりのみを扱っているという感じで、それが逆に、法律の素人には読みやすいかもしれません。
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